建設業許可の「財産的基礎」とは?500万円の意味と残高証明の使い方を解説

投稿日:2026/10/11

最終更新日:2026/10/11

建設業許可の「財産的基礎」とは?500万円の意味と残高証明の使い方を解説

建設業許可のご相談で、

「500万円ないと許可が取れないんですよね?」

と聞かれることがあります。

半分正解ですが、少し違います。

一般建設業許可の場合、「500万円」という数字は確かに重要です。ただし、資本金を必ず500万円にしなければならないという意味ではありません。

ここを勘違いして、急いで増資しようとされる方もいますが、まず現在の決算書と預金状況を確認した方がよいケースがほとんどです。

建設業許可では「財産的基礎」が審査される

建設工事では、工事代金を受け取る前に、

  • 材料を仕入れる
  • 職人を確保する
  • 機械を手配する
  • 外注費を支払う

といった先行支出が発生します。

そのため建設業許可では、請負契約を履行できるだけの財産的基礎・金銭的信用があることが許可要件になっています。

国土交通省は、一般建設業について次のいずれか、特定建設業についてはより厳しいすべての財務基準を満たすことを求めています。

一般建設業は3つのうち、どれか1つでよい

一般建設業の場合、次のいずれかを満たせば財産的基礎の要件をクリアします。

  1. 自己資本が500万円以上ある
  2. 500万円以上の資金調達能力がある
  3. 許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績がある

つまり、新規申請でよく使うのは、

決算書の自己資本で証明する方法
または
預金残高等で資金調達能力を証明する方法

です。

「資本金500万円」と「自己資本500万円」は別

ここはかなり大事です。

一般建設業で求められているのは、原則として資本金500万円ではなく自己資本500万円です。

法人の場合、自己資本は直前の確定した貸借対照表の純資産合計を見ます。

例えば、

資本金 500万円
累積赤字 △300万円
純資産 200万円

なら、

「資本金500万円だから財産要件OK」

とはなりません。

反対に、

資本金 100万円
利益剰余金 600万円
純資産 700万円

なら、自己資本500万円以上の基準を満たすことが考えられます。

東京都の手引でも、法人の自己資本は貸借対照表の「純資産合計」の額とされています。

申請前にまず見るべきなのは、登記簿の資本金より直近決算書の純資産です。

自己資本が500万円未満でも、すぐに諦める必要はない

新規設立した会社や、直前決算の純資産が500万円を下回っている会社でも、一般建設業許可を取れないと決まったわけではありません。

500万円以上の資金調達能力を証明できれば、もう一つの基準を使えます。

東京都では、申請者本人・法人名義の金融機関口座について、500万円以上の預金残高証明書または融資証明書によって資金調達能力を判断する運用が示されています。

そのため、

「決算書を見ると純資産300万円しかない」

という場合でも、法人名義口座に500万円以上の資金を準備して残高証明を取得することで申請できるケースがあります。

通帳コピーではなく「残高証明書」

ここもよくあります。

銀行アプリの画面に500万円以上表示されている。

通帳には600万円入っている。

それだけで申請書に添付できるとは限りません。

申請行政庁が指定する金融機関発行の預金残高証明書等を使用します。

しかも、残高証明はいつ取得してもよいわけではなく、申請先によって有効期間・証明日の扱いがあります。

東京都も令和8年度の建設業許可手引で、預金残高証明書を財産的基礎の確認資料として案内しています。

申請日を決めてから取得した方が、取り直しを防ぎやすいです。

500万円をずっと口座に置いておく必要がある?

一般建設業の新規申請で「500万円以上の資金調達能力」を使う場合は、申請時に要件を証明します。

「許可を取得した後も、常に口座残高500万円を絶対に切ってはいけない」という単純な制度ではありません。

ただし、会社の財務状況が悪化すれば事業運営そのものに影響しますし、特定建設業では更新時等にも厳しい財務要件を満たす必要があります。

500万円は単なる「見せ金」のルールではなく、工事を履行できる信用力を見るための要件だと考えた方が分かりやすいでしょう。

更新時は「直前5年間の許可営業実績」が使える

一般建設業では、

許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績

があれば、財産的基礎を満たす取扱いがあります。

そのため一般建設業の通常の更新で、

「今の純資産が500万円を切ったので必ず更新できない」

ということには直ちになりません。

ただし、許可を切らしてしまった新規取り直しなどでは話が変わるため注意が必要です。

特定建設業は500万円では足りない

特定建設業になると、財産要件は一気に厳しくなります。

次のすべてを満たす必要があります。

  • 欠損の額が資本金の20%を超えていない
  • 流動比率が75%以上
  • 資本金が2,000万円以上
  • 自己資本が4,000万円以上

国土交通省が現在示している基準もこの4項目です。

一般建設業との大きな違いは、どれか1つではなく全部必要ということです。

特定建設業は「口座に4,000万円」で解決するとは限らない

一般建設業の500万円と同じ感覚で、

「4,000万円の残高証明を取れば特定もいけますか?」

という質問もあります。

通常の法人ではそう単純ではありません。

特定建設業は、直前の確定した貸借対照表をもとに、

  • 欠損比率
  • 流動比率
  • 資本金
  • 自己資本

を確認します。

決算前に特定建設業への切替えを考えている会社は、申請直前になってからでは修正が難しいことがあります。

税理士とも連携して、早めに決算見込みを確認しておくのがおすすめです。

財産的基礎で実際によく止まるケース

実務では、次のようなケースが多いです。

「資本金500万円だから大丈夫だと思っていた」

→ 赤字の影響で純資産が500万円未満。

「今日500万円入金したので、ネットバンク画面を出せばいいと思った」

→ 指定された残高証明書が必要。

「特定建設業なので4,000万円入金すればよいと思った」

→ 流動比率や欠損比率も満たす必要あり。

「残高証明を先に取った」

→ 申請日との関係で取り直しになる可能性。

この要件は、決算書を1枚見ればかなり早い段階で方向性が分かります。

建設業許可を検討したら、経営経験や資格と一緒に直近の貸借対照表も最初に確認することをおすすめします。

建設業許可の財産要件の確認なら行政書士法人Deeへ

行政書士法人Deeでは、申請書を作り始める前に、

  • 自己資本で証明できるか
  • 残高証明が必要か
  • 特定建設業の財務基準を満たしているか
  • 決算前に何を整理しておくべきか

まで確認しています。

「500万円ないと無理だと思っていた」という会社でも、別の証明方法が使えることがあります。

直近の決算書をお手元にご相談いただければ、取得可能性を整理します。

TEL 03-6820-0641(受付 9:00~18:00)
行政書士法人Dee(建設業許可サポート)

よくある質問

Q. 資本金が500万円未満でも建設業許可は取れますか?

取れる可能性があります。一般建設業で見るのは資本金そのものではなく、自己資本500万円以上、または500万円以上の資金調達能力などです。

Q. 赤字決算でも許可は取れますか?

赤字だけで直ちに不許可になるわけではありません。純資産や預金残高などを確認して判断します。

Q. 500万円は現金で持っていないといけませんか?

一般建設業の新規申請では、自己資本のほか、預金残高証明書等で500万円以上の資金調達能力を示す方法があります。具体的な証明資料は申請先によって確認が必要です。